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必見コラム「企業が生きる知恵」


  おもてなし

投稿日 2024/01/03

バルグドルフグッドマンVSバーニーズ、何が違ったか?

~ウェルカムホームはプロだからできる!!

~米バーニーズNYの凋落から見えてくる、顧客を魅了するサービスとは?~
ヨーロッパの無名デザイナーを発掘し、富裕層を顧客とする商法のデパートバーニーズというお店が米国にありました。
店内はセンスあるブランドセレクトで買いやすい売り場に、おしゃれなVMDを施し、米国のブランド好きに支持されていました。

しかし同社は80年代多店舗展開を行ったため、1996年に連邦倒産法第11章 (Chapter 11)の適用を受けて倒産、アメリカ国内外にあった複数店舗を閉店した後は2004年、米ジョーンズ・アパレル(Jones Apparel)グループが約4億ドルで買収し。2007年8月ドバイ政府所有の投資会社・イスティスマール(Istithmar)に9億4230万ドルで売却されています。(この時日本のファーストリテイリングも買収に乗り出し、買収価格が競りあがった)

その後同社は、ニューヨーク中心部マディソン・アベニューの店舗と他主力4店舗だけは営業を続け、、2020年には、残る全てのバーニーズは閉店してしまい、今はバーニーズブランドを買収したAuthentic Brands Groupが別の高級百貨店内でバーニーズブランドを展開することを検討しているようです。

これまで私のコーディネートする米国視察セミナーでは、参加者である日本の百貨店の要望で、米国バーニーズ店舗は必ず訪れ、ブランドセレクトごとで買いやすいおしゃれなVMDを施した売り場を解説していたのですが、その時、地元で業界関係者にインタビューする度に、米国のブランド好きはこぞってバーニーズに来ているにもかかわらず「バーニーズはサービスがよくない」という意見が多々あったのです。

~日本の百貨店はバーニーズに何を学んだのか?~
米国発の小売り業態バーニーズは1980年代に、日本の伊勢丹と提携し、秀逸したセレクトを提供するセンスあるお店として、米国バーニーズ同様日本でも、ブランドを好む層に支持されました。
が、現在日本バーニーズは免税店なども展開する外資ラオックスが行い、直近ではコロナの影響もあり3店舗まで縮小し運営されています。

米国で支持されなくなったバーニーズは、日本では外資の傘下となり、免税店的要素も兼ね、訪日客も対象に存続しようとしています。では、日本の百貨店も存続するために、日本バーニーズ同様、免税店的要素を付加価値とする売り場をつくり、売り上げ獲得することは賢明な策なのでしょうか?

アメリカではバーニーズが倒産した理由を、
専門家は「バーニーズでの買い物を好む人とは、人と同じ(ブランド)ものを持ちたくない傾向がある、同社がこのような顧客だけを相手にビジネスを成り立たせるのは難しかったのだ」と語っています。
日本の百貨店がバーニーズ倒産の理由をヒントに、再生するなら、誰も持たないブランドを扱い、ファッショントレンドを追う次世代層を対象にするのではく、百貨店を支持する富裕層を対象に商品をセレクトつつも、百貨店の売りであるサービスで顧客支持をえるために何をすべきか?を、その答えを見出すための具体的アプローチをまずは実践し始めることです。

~~モードを提案するNYバルグドルフグッドマンの現場が提供するサービスとは?!~
米国で唯一無二のお店といわれるデパートにバルグドルフグッドマンがあります。
同店は今投資ファンドの傘下であるニーマンマーカスグループの一員ですが、このお店だけは特別な扱いを受けているようです。
その理由は、「私が死んだら遺骨を店内にまいて欲しい!」(余談ですが映画にもなった)と願う顧客が存在する位、同店のサービスは素晴らしく、高いリピート率を維持しているからです。

バルグドルフグッドマンのサービスは、一言でいうと「ウエルカムホーム」というワードに象徴される、現場が顧客と密に関係を持つ一見地味な対応です。

一例を挙げると、私自身の体験ですが、お店の中をまわりながら、コートを見ていたとき、すかさず「あなたのサイズはこちらにあります。」と私の体型を見て、ジャストサイズを読み取り、さりげなく、でもはっきりと分かるように、「サイズ〇〇はこちらです」と、途中まで私を案内し、目的の売り場に私が着くまで見届けるという、過剰なサービスにならない、ホーム(家)に招かれたような対応です。

以前NYで同店を訪問し、販売員に課していることについてインタビューした際「会社の教育としてサービスを1から10まで教えているのではなく、販売員1人1人がお客様を観察し、最適なサービスを考えている」と教えてくれました。。

パートバルグドルフグッドマン自体ブランドであり、同店が発信するセレクト=モードになっている点は事実ですが、日本の百貨店が再生するには、バルグドルフグッドマンのような、ある意味ベタな現場仕様のサービスを提供する意味はありそうです。

なぜなら、日本の百貨店もバルグドルフグッドマン同様、来店客は、買い物をしたいからお店に訪れるのではなく、単に非日常を味わうために来店する顧客が相当数存在し、これら顧客がウェルカムホームを実体験すれば、顧客との会話が始まり、それは売上につながる可能性は大だからなのです。


*販売員からのサンキューレター





関連URL
■ バルグドルフグッドマン魔法のデパート  https://youtu.be/WEWuzjm-JyY?si=ebHHaMP8bojinKDR



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