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必見コラム「企業が生きる知恵」


  サードウェーブコーヒー

投稿日 2020/06/20

ブルーボトルのこだわりは本物なのか?~コーヒーとパンが価値を生み出す!~

~「この美味しさで100円!」 サードウェーブコーヒーの付加価値とは!!

コスパ抜群のコンビニコーヒーが世の中に出現してから数年が経ち、コーヒー市場は200億円から10倍の2300億円の規模にまで成長しました。

日本では喫茶店コーヒーが300円ぐらいした時代を経て、ドトールコーヒーがコーヒービジネスのチェーン化に成功し、半額の150円(1980年当時)コーヒーが誕生することで、一気に大衆化が進みます。しかし1996年に外資のスターバックスが上陸すると、消費者はおしゃれな空間で楽しむ1杯約400円の深みのあるエスプレッソを軸にしたシアトル系深煎りコーヒーに魅了されていきます。

コンビニコーヒーは試作を重ねた結果、スターバックスに劣らない美味しさでどこでも買える100円の手軽なコーヒーとして認知されていくのですが、日本のコーヒーは一杯100円を基準にこのままコモディティー化(高付加価値商品が一般的な商品になること)した商品となるのでしょうか?

~外資の参入が日本のコーヒー市場に新たな付加価値エシカルを提案した!~

収穫に手間のかかるアラビカ種の豆を使ったコンビニコーヒーの出現で、大衆化したドトールコーヒーは高品質な生豆を直火焙煎するコーヒーとしてフランチャイズ展開も含めコンビニ同様便利な立地を武器に売上を拡大していきます。
一方スターバックスが提案するコーヒーを飲む第三の空間(サードプレース、自宅でも職場でもない空間)は、ライフスタイルを志向する消費者に、価格に見合うコーヒーを楽しむ場所として支持されていきます。

価格と手軽さで勝負するコンビニと空間で心地よさを提供するスターバックスと立地と便利さを訴求するドトールが三つ巴となり、コーヒー市場のシェアー争いが激化している所に、サードウェーブコーヒーのブルーボトルが2015年に日本進出を果たします。

するとポストスターバックスとも言える次世代の日本のミレニアル世代(1987年以降に生まれた世代)を中心とした30代が付加価値エシカルを軸にした、希少な味と生産地にこだわるブルーボトルを支持し始めたのです。

~サードウェーブコーヒーの人気はSNSに投稿されるかっこよさにあった!~
サードウェーブコーヒーとは、単一種の苗木から収穫されたコーヒー豆にこだわり、全体のコーヒー豆流通量の5%しかないシングルオリジン(ブレンドせず単一産地の特色が際立つタイプ)を、豆本来の個性や酸味が楽しめる浅煎りで焙煎し、抽出するスぺシャリティーコーヒーをさします。

が、日本でサードウェーブコーヒーがブレイクした本当の理由は、ずばりコンクリート打ちっぱなしやレンガのモノトーンカラーでデザインされた店内に、バリスタがハンドドリップするコーヒーを飲む体験がリアルに充実しているおしゃれな被写体となり、SNSで共有されたからです

では今後サードウェーブコーヒーが、おしゃれで、かっこよさを入口に日本で何をすれば世代を超えた支持を得ることができるのでしょうか?
その答えは、今サードウェーブコーヒーの発祥地サンフランシスコのコーヒーをめぐる客単価をアップさせるための手法を検証すれば、そのヒントが見えてきます。

~サードウェーブコーヒーと大資本に親和性はあるか?~
サードウェーブコーヒーがこだわる、取引する豆の選別や季節に応じたシングルオリジンのコーヒーメニューや顧客の前でハンドドリップするパフォーマンスは運営コストを高め、コーヒーだけで生み出す日配では利益を生み出すのは難しい状況です。

そこでブルーボトルコーヒーは、2015年にサンフランシスコで有名なタルティーンベーカリーを買収し、同店のパンやペストリーを提供することで客単価を向上させ、利益を確保していきました。
ところが、2018年ブルーボトルコーヒーは大資本企業のネスレに68%の株式を売却し、大企業の傘下となり、成長路線を歩んでいく決断を下します。

サードウェーブコーヒーが発祥の地サンフランシスコで人気を博したのは、その特徴ある味だけではなく、小資本のコーヒー専門店が生産者とダイレクトトレード(直接取引)を通して、地元の支持により、生産者を守るビジネスの在り方でした。

ブルーボトルコーヒーがとった資本注入による成長戦略は、サードウェーブコーヒーを支持する地元レストランの料理人から同店のコーヒーの扱いを中止する流れも起こってくるのでした。

~サードウェーブコーヒーの新業態が日本に憧れるライフタイルを提案する!!~
2011年にもう一つのサードウェーブコーヒーのお店フォーバレルコーヒーが麦から挽くパン専門店とベンチャーでMILLS(製粉機)というお店をオープンします。
MILLSはその名の通り、製粉機を店内に装備し、自店チョイスのシングルオリジンのコーヒーと共にその土地の風土によって味が変わってくる麦から挽いた自家製サワードウブレッド(鋭い酸味が特徴で、微生物を培養させたパン)に地元農家のオーガニックを主体としたジャムやハチミツを塗ったトーストが人気となっています。

サードウェーブコーヒーは、小資本しかできない大資本の効率的な利益を生み出す仕組み(大量生産、大量販売、大量消費)とは真逆を行くアナログな経営を実践し、顧客はサードウェーブコーヒーを楽しむことで自身の憧れるライフスタイルの実現を実感しています。

生産者とお店と消費者全員は、サードウェーブコーヒーにより、適正な価格と共に安全安心を品質とその美味しさを手に入れることが可能です。
欲しいモノがない日本の消費者が、サードウェーブコーヒーに、いいね!するだけ世の中をよくできるなら、エシカル(倫理的、環境を考慮した)なライフスタイルによって、世代を超えた支持を集めることはできそうです。





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