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必見コラム「企業が生きる知恵」


  外食

投稿日 2010/04/13

スターバックスは、なぜパネラブレッドに追い越されるのか?

~メニュー構成とその提案でオンリーワンになる

不振だった日本のスターバックスが日本限定の「ほうじ茶 ティーラテ」や「2010 SAKURAシリーズ」などが好調で、
既存店売上高は1月以降、見込みを上回って推移しています。

この状況は日本だけでなく、本家の米スターバックスも同様です。

米スターバックスは2008年にハワード・シュルツ会長が最高経営責任者(CEO)を解任し、自らがCEOに復帰すると、すぐに赤字店舗100店を閉鎖、従業員600人をリストラ、その後全米ほぼ全店にあたる7100店をまた一時閉め、従業員13万5000人を対象に研修を行いました。

その時日本式の「カイゼン(Kaizen)」を導入した結果、
商品を提供するまでの時間短縮により、
今まで待っていた為に逃していたお客さんを売上げにつなげることで、2009年4~6月期には大幅な業績回復を果たしたのでした。

不況の今、安くて早くて、手の届く贅沢感が必須のキーワードに間違いはありません。

そんな最強ともいえる、全てを兼ね備え業績回復したスターバックスを追い越すパネラブレッドとは、
一体どのような企業なのでしょうか?

現在(2010 3月)
スターバックスは、全米8800店舗、売上げ9774億円。
一方パネラブレッドは、1380店舗、1353億円。

規模にして10倍弱の差があるのですが、
手の届く贅沢感で提供するコーヒーと言う市場で成長するのは、
巨大なスターバックスの出現で難しそうです。

ある会社が一番のシェアーを持たず、そこで売上げを伸ばすには、
一番手(スターバックス)を競合企業に見立て競争してお客さんを奪うことより、
競合(競り合い)して一番手との違いを見い出し、
そこに本来備わっている、気付かなかったオンリーワンの売りがあることを明らかにしていくことです。

スターバックスの売りは、本物感のある味わいある、おいしいコーヒーです。
そして、それを贅沢な環境で提供することが同社の付加価値でした。

だから3ドル(300円~400円)と言う値段でも売れたのです。

でも、もし同社の売りであるこのプレミアムコーヒーが、ファーストフードのように販売されたとしたら??

お客さんにとって、便利で待たないことは素晴らしいことなのですが、
お客さんだけを見て、便利さだけを追求することは、
そこで働く人を尊重しないことを意味し、それが現場の士気にも関わってくるかもしれないのです。

今コンサルティングしている会社で、あるトップが語っていた言葉に、
「マーケティング(売れる仕組み)とビジネスモデル(儲かる仕組み)はトップが責任を持つ。
そして現場の士気は、私も一人の同志として、同じ船に乗る同志たちと共に考えていく。」というものがありました。

スターバックスは創業者であるハワードシュルツが、
マーケティングとビジネスモデルの責任を持つことで経営のカジ取りをし直し、
それが功を奏した結果となりました。
が、その建て直しの方法は現場と共に歩み、解決した内容にはなっていなかったようです。

1月にインタビューしたパネラブレッドは、確かにスターバックスと競合する状況にあります。

そこで同社は、プレミアムコーヒーの市場はスターバックスによって飽和し、
今マクドナルドやダンキンドーナッツという大手企業が参入している。
だから、あえて同じ土俵で勝負をせずに、スターバックスが売りにしたコーヒーのプレミアムな香りだけを引き継ぐ。

そう、決定を下します。

確かに、パネラブレッドの巧みなプレミアムな香りのコーヒーの演出は、
どこにでもあるスターバックスに飽きてきた顧客を、魅了しています。

パネラブレッドの強さは、
スターバックスのようにプレミアムなコーヒーを売りにせず、
でもプレミアムなコーヒーも味わい、楽しむことができるメニューとその提案手法です。

コーヒーがあれば、朝でも昼でも、おやつ時でも夕食時でも、
いつでも人は集まってきてくれます。
でも、スターバックスのようにコーヒーを主役にしてしまうと、
売上げを伸ばすには、購入客数を増やすファーストフード化しか方法がなくなってしまうのです。

今後スターバックスの現場が、
ファーストフード化するなら、今の売上げにもかげりがでてきます。

なぜならお客さんは、お店で働く人のこだわりから“おいしさと本物感”も味わっているからです。





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